犬といっしょに  発見とまなびの散歩道

犬と暮らす、愛と発見の記録。大切なことは、いつも犬が教えてくれる。

夜の照明が、犬の毛の生え変わりに影響することがあるらしい!

 

うちの子、夜に照明を煌々とつけてても、へそ天でぐっすり寝てるんです。

──そんな子、きっと多いですよね。

 

ぐっすり寝てる姿を見ると、
「体もちゃんと休めてるんだな」「問題ないんだな」って思いますよね。

 

でも実は、寝ているように見えても、体の中では“季節を間違えている”ことがあるんです。

この記事では、犬の「毛の生え変わり」と「光の関係」について、やさしく説明していきます。

 

 

🌓 犬は「日照時間」で季節を感じる

犬は「春だな~」「冬が近いかも」っていう季節感を、
気温じゃなくて、“光の時間”で感じてるそうです。

 

だから、夜にずっと部屋が明るいと、
「まだ夏だ!毛、いらないかも!」って勘違いして
いらないタイミングで抜けはじめることもあるんだとか。

 

💡 夜に電気をつけていたい場合は?

「いやいや、うちは22時すぎまで起きてるよ!」


そんなときは、犬の寝るスペースだけでもちょっと暗めにしてみるのがオススメ。

たとえば:

  • 飼い主の気配が感じられる隣の部屋に寝場所を移す

  • ケージに布をかけて、やさしく照明を遮ってあげる

そんな工夫だけでも、犬の体内時計が整いやすくなるかもしれません。

 

✨ 毛並みケアは「光」も関係あるかも

ごはんやブラッシングに加えて、
「光の環境」もちょっと気にしてみると、
毛並みや健康にもやさしいかもしれません。

 

毎日の照明、少しだけ意識してみませんか?

 

 

▼ noteでは、もう1段階詳しく解説しています。

note.com

犬がペットホテルでご飯を食べない・下痢…それって普通? 愛犬に合う施設選びのヒント

 

 

 

はじめに

旅行や急な予定で、愛犬をペットホテルに預けることになった――

そんな経験はありませんか?

 

でも帰ってきたら「ご飯を食べていなかった」「下痢をしていた」…そんな体調不良に戸惑ったことがある方も多いのではないでしょうか。

 

実はこれ、けっして珍しいことではありません。

慣れない場所、見知らぬ人、変わった匂いや音…

犬にとってペットホテルは“安心できる自宅”とはまったく違う世界です。

 

この記事では、

✅ なぜ体調を崩すのか?

✅ どうすれば防げるのか?

✅ どんな施設を選べばいいのか?

 

そんな疑問に、初心者の方でもわかりやすくお答えします。

大切な愛犬が、ペットホテルでも“安心して楽しく過ごせる”ためのヒントを、一緒に見つけていきましょう。

 

【1】実は多い!ペットホテル利用後の「体調トラブル」

「宿泊中ご飯を全然食べなかったんです」

「帰ってきたら下痢してて…」

ペットホテルを利用した飼い主さんから、こういった声を耳にすることは少なくありません。

 

でも、これって“うちの子が特別”というわけではなく、実はとても多いケースなんです。

 

犬はもともと、

✅ 家族と過ごすこと

✅ 毎日決まった場所で寝て食べること

✅ お気に入りの散歩コースを歩くこと

…といった、いつもと同じ“安心できる暮らし”を大切にしています。

 

私たち人間は、「週末は旅行だから、その間はホテルに預けよう」と、数日先の予定を理解できます。

でも犬にとっては、“何日後にここへ連れてこられる”なんて想像できません。

気づいたら突然、知らない場所に連れてこられて、大好きな家族と離される――。

犬にとってそれは、理由のわからない不安な出来事でしかないのです。

 

そんな犬にとって、

・知らない場所

・知らない人

・知らない音や匂い

これらが一気に押し寄せてくるペットホテルの環境は、とてもストレスフル。

 

そのストレスが、食欲の低下や下痢といった“体調の乱れ”として現れるのです。

 

実際、ペットホテル利用者を対象としたある調査では、

約6割の飼い主が「ストレスの影響が心配」と回答しています。

 

犬にとっての「環境の変化」は、私たちが思っている以上に大きな負担。

だからこそ、事前にできる準備や、施設選びがとても大切になってくるのです。

 

 

【2】体調を崩させないための“施設選び”のポイント

「環境の変化はストレスになる」

――では、どうすればそのストレスを減らしてあげられるのでしょうか?

 

大切なのは、犬が安心して、できれば楽しめる“流れ”をつくってくれるペットホテルを選ぶこと。

単に設備や料金で選ぶのではなく、犬の気持ちを丁寧にくみとり、関係づくりや滞在の組み立て方に工夫があるかどうかに注目してみましょう。

 

✅ 「楽しい場所」と思える経験を、施設側が“当たり前”に用意してくれるか?

「何度か預ければ慣れるはず」と思いがちですが、ただ置かれるだけの経験では、犬はかえってストレスを積み重ねてしまうこともあります。

 

大切なのは、ホテルという場所が“怖くない”“ちょっと楽しい”と感じられるような経験を、施設側が“前提として”用意してくれているかどうか。

 

たとえば、飼い主さんと一緒に来て、スタッフと遊ぶ時間をつくってくれるような施設では、犬が「この人、知ってる!」「ここで遊んだことある!」と、ポジティブな記憶を積み重ねやすくなります。

 

こうした関係づくりには、何回か通う必要があったり、費用がかかることもあります。

でもそれは、“愛犬の心に安心感を育てる時間”にかける準備費用とも言えるのです。

 

✅ 少数制で、目が行き届く体制か?

たくさんの犬がいる大規模施設では、どうしても1頭1頭にかけられる時間は限られてしまいます。

少数制で、犬に合わせたケアをしてくれるホテルなら、より細やかな対応が期待できます。

 

✅ 夜間もスタッフが見守ってくれるか?

夜は特に、不安や孤独を感じやすい時間帯。

「夜間は誰もいません」「防犯カメラだけです」という施設もありますが、

犬の気持ちを大切にしているホテルでは、“夜をどう過ごすか”にも配慮があります。

 

たとえば、ふだん家族と一緒に寝ている子には、スタッフがそばで添い寝してくれるという対応をしてくれることも。

「夜も誰かがそばにいてくれる」――

そんな安心感があるだけで、犬の眠りや心の状態は大きく変わります。

 

見守り体制の有無に加えて、“夜の過ごし方”を犬ごとに考えてくれる施設かどうか、ぜひ確認してみてください。

 

✅ 音・匂いなど、感覚への配慮があるか?

犬は、私たち以上に“音”や“匂い”に敏感です。

消毒のにおい、金属音、空調の風音など、些細なことでもストレスになる場合があります。

 

また、無音の空間では、外のちょっとした物音がかえって不安感を増幅させてしまうことも。

そのため、犬によっては、やさしい音楽やラジオの声が流れているほうが安心できるというケースもあります。

 

最近では、ジンジャーやココナッツなどの自然な香りが犬のリラックスを促す可能性があるという研究もあり、

音や香りといった感覚環境に配慮してくれているかどうかも、見学時のチェックポイントです。

 

犬が「ここは安心できる」「また来てもいいかも」と思えるかどうかは、

どんなふうに出会い、どんなふうに過ごすかの“流れ”がつくれるかどうかにかかっています。

 

だからこそ、“ただの慣らし”ではなく、ポジティブな経験を丁寧に積ませてくれる施設かどうかを軸に、選んでいくことが大切なのです。

 

 

【3】安心して預けられるホテルは、こんなふうに犬に関わってくれる

 

本当に、犬にとって“楽しい場所”になるペットホテルなんてあるの?

「預ける=1日だけがんばってね、我慢してね」

――そう思っていた飼い主さんも、きっと多いはずです。

 

でも実は、犬の気持ちに丁寧に寄り添って、滞在そのものが“安心できる経験”になるよう関わってくれるホテルは、ちゃんと存在します。

 

ここでは、関東のあるホテルで実際に行われている取り組みを例に、

犬が「ここならちょっと大丈夫かも」と思えるような工夫をご紹介します。

 

◆ 飼い主と一緒に“安心感”を育てる関わり

このホテルでは、いきなり預けるのではなく、滞在前に飼い主と一緒に通うレッスンが組まれています。

そこで行うのは、スタッフと犬が一緒に遊んだり、ふれあったりする時間。

犬にとって「この人、知ってる!」「ここ、ちょっと楽しかったかも」という記憶が、少しずつ積み重なるように工夫されています。

 

◆ 静かで落ち着いた環境づくり

1日の預かりは少頭数制

 

このような体制によって、犬同士の距離が適度に保たれ、落ち着いた雰囲気の中で過ごせます。

大人数に囲まれるのが苦手な子や、繊細な気質の子にもやさしい環境です。

 

◆ 苦手なケアにも、段階をふんで寄り添う

たとえばブラッシングや足ふきなど、日常生活で避けられないケア。

こうしたことにも、いきなりやらない・無理にやらないという姿勢で、段階的に少しずつ慣れていく練習が用意されています。

 

◆ 犬の気持ちを読み取れるスタッフ

このホテルでは、スタッフが行動や情動に関する科学的な知識を学んでいることも特徴のひとつ。

犬の表情やしぐさから「今、ちょっと怖いかも」「この子は今リラックスできてるな」といった

“犬の声にならないサイン”に気づいて対応できる力があります。

 

こうしたホテルでは、犬は「知らない場所にいきなり置いていかれた」とは感じにくく、

「ここでなら過ごせる」「あの人とならちょっと安心」と思えるような体験ができます。

 

そして飼い主も、「このホテルなら不安なく任せられる」と感じられるからこそ、

預けるときの不安や罪悪感が、少しずつ軽くなっていくのです。

 

次の章では、そんな安心できる滞在のために、飼い主自身ができる準備についてご紹介します。

 

 

【4】「楽しんできてね」と伝えられるように。飼い主ができる“ちいさな準備”

2章・3章では、犬の気持ちに配慮した“ホテル側の取り組み”をご紹介してきました。

では、飼い主にしかできない準備には、どんなことがあるのでしょうか?

 

ここでは、「うちの子のことを一番よく知っている私だからできること」に絞って、4つの準備のヒントをご紹介します。

 

 

✅ 犬が“安心して過ごせる場所”を把握しておく

最近では、クレートやケージに「閉じ込める」のではなく、犬が自分で過ごす場所を選べるホテルも増えてきました。

だからこそ、「うちの子はどこで落ち着けるのか?」をあらかじめ把握しておくことがとても大切です。

 

ふだんどこで寝ているか(ソファ、ベッド、床、クレートなど)

 

狭い場所が落ち着く? 広いところでのびのび?

 

いつもこのクッションや毛布があると安心する など

 

こうした情報を、具体的に伝えられるようにしておくことで、ホテル側もその子に合った環境を整えやすくなります。

 

→ 使い慣れた寝具を持参する/写真や動画を見せる/「ここだとリラックスできるみたいです」とひと言添える、など。

 

 

✅ においで“おうちの安心”を持たせる

 

犬は、においにとても敏感で、日常の安心感とも深くつながっています。

一部の研究では、犬が飼い主のにおいをかぐと、うれしい記憶とつながる“脳の部分”が反応するという結果も出ています。

こうしたことから、慣れているにおいがそばにあることで、落ち着きやすくなる犬もいると考えられています。

 

→ 使い慣れたベッドやブランケット、飼い主のにおいがついた服などを用意してあげましょう。

 

 

✅ 音も「安心」の一部になることがある

 

無音の空間が落ち着かない子もいます。

もし自宅でラジオやBGMを流しているなら、その音環境を再現できるようホテル側に相談してみるのもひとつの手です。

 

→ 特に「普段リラックスしているときに流れている音」が効果的です。

例:クラシック音楽、ヒーリングミュージック、人の声が入ったラジオなど。

 

 

✅ 「ホテル=ちょっといい場所」と感じられる経験を少しずつ積む

 

そして何より大切なのが、「ホテルに行く=我慢」ではなく、

「知ってる場所」「ちょっと楽しいかも」という記憶を積んでおくこと。

 

たとえば:

 

飼い主と一緒に短時間だけ立ち寄って、おやつをもらって帰る

 

スタッフと軽く遊んで、「あの人知ってる!」を増やす

 

数十分の練習滞在を繰り返して、少しずつ「平気かも」を重ねていく

 

こうした経験が、「ここ、知ってる場所かも」「なんだかイヤじゃなかったな」と感じるきっかけになります。

 

犬は「1泊だからがんばろう」と考えることはできません。

だからこそ、「大丈夫」と思える材料を、飼い主が先に準備して手渡すことがとても大切なのです。

 

「預ける」ではなく、

「楽しんできてね」と伝えられるように――

そんな視点での準備が、犬にとっての心の安全基地になります。

 

✅「腸のコンディションを整えておく」という備えも

「ごはんを食べなかった」「帰宅後に下痢が続いた」──

ペットホテルに泊まったあと、こうした体調の変化が見られる子には、“腸のコンディションを整えておく”という準備もひとつのサポートになります。

 

最近では、犬の「腸活(ちょうかつ)」が注目されています。
腸活とは、腸の環境を整えることで、免疫力や体調の安定をサポートするという考え方。

なかでも、「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」という2つの成分がよく使われます。

 

 

🦠 プロバイオティクスとは?

→ 腸にいい働きをする善玉菌そのもの(乳酸菌・ビフィズス菌など)です。
スーパーで買える無糖ヨーグルトなどにも含まれています。

 

🌱 プレバイオティクスとは?

→ 善玉菌の“エサ”になってくれる食物繊維やオリゴ糖のこと。
たとえば、バナナ・さつまいも・かぼちゃ・にんじん・りんご(種と皮を除く)など、身近な野菜や果物にもたくさん含まれています。

 

 

🐶 なぜ腸活がストレス対策になるの?

実は、腸は“第2の脳”とも呼ばれていて、ストレスの影響をとても受けやすい場所。

 

宿泊という環境の変化でストレスを感じると、腸内のバランスが乱れやすくなり、下痢や食欲の低下といった変化が出ることがあります

 

でも、腸内に善玉菌が増えてくると、「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という成分が生まれて、
腸のバリア機能や免疫バランスをサポートしてくれるといわれています。

 

つまり、“内側から整える”ことで、ストレスにゆらぎにくい体づくりを助けてくれるのです。

 

✅ どう取り入れる?何日前から始めればいい?

腸内環境はすぐに変わるものではないので、できれば1〜2週間前から、少しずつ慣れた食材で始めておくのがおすすめです。

  • 無糖ヨーグルトを小型犬ならティースプーン1杯ほどフードにトッピング。様子を見ながら調整を。

  • 茹でたさつまいもやかぼちゃを、ほんの少しだけ混ぜる

  • バナナやにんじんを少量、刻んで与える

など、いつものごはんの10~20%以内を目安に。

 

ただし、体質や持病(IBD・膵炎など)によっては合わないケースもあります


また、乳製品に敏感な子もいるので、はじめて与えるときは必ず少量から、様子を見ながらにしてくださいね。

 

体質に不安がある場合やお腹が弱い子は、動物病院で相談のうえ、犬用の整腸サプリなどを使うのも安心な方法です

 

「特別なことをしないといけない」と思わなくても大丈夫。

その子に合った食材を、少しずつ、日常のなかで
それだけでも、体の中から“安心できる力”をサポートしてあげられるかもしれません。

 

【5】“その子らしく過ごせる場所”を選ぶということ

 

ペットホテルを探すとき、つい設備や料金、立地の良さなどに目が行きがちです。

でも、この記事を読んでくださったあなたは、きっともう少し違う視点を持っているはずです。

 

それは、

「この子が、ここで“その子らしく”いられるか」

という、とてもシンプルで、とても大切な問いです。

 

実は、わが家の犬も、初めてのペットホテルではごはんを食べられず、帰宅後に下痢が続いたことがありました。

先代犬は、同じホテルに何度預けても毎回お腹を壊していました。

当時は「犬を預けるってこういうものなんだ」と諦めていましたが──

 

2章・3章で紹介したような、犬の気持ちに寄り添ってくれるホテルで、

練習を重ねていくうちに、本番のお泊まりでもごはんは完食。

帰宅後も体調を崩すことはありませんでした。

 

「うちの子には無理かもしれない」と思っていた気持ちが、

「飼い主である私とスタッフさんが、愛犬を中心に時間をかけて向き合っていけば、ストレスは減らせるんだ」と感じられるようになりました。

 

犬によって「安心できる条件」は本当にさまざま。

人懐っこく見えて、実は静かな場所が好きだったり。

のびのびした性格に見えて、繊細な変化に敏感だったり。

 

だからこそ、

“良いホテル”を選ぶのではなく、“うちの子に合った関わり方をしてくれる場所”を選ぶという視点が、大きな助けになります。

 

もちろん、最初から完璧に見抜けるわけではありません。

でも、見学をしたり、練習の中で様子を見たり、スタッフとやり取りを重ねる中で、

「この人たちなら大丈夫かも」と思える瞬間が、きっと見つかるはずです。

 

犬を預けることは、“信じて任せること”でもあります。

だからこそ、「楽しく過ごせるかもしれない」「また来てもいいかも」と、

少しでも犬が感じられるような準備と選択を、私たちがしてあげたいですね。

 

「また来ようね」

そう笑って言えるホテルに、きっと出会えますように。

 

 

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犬が“うれしい”と感じる褒め方、5つのステップ──「いい子!」がちゃんと伝わるために

犬に「褒め」が伝わらないとき、試してほしい5つのステップ

 

──“褒め”を「うれしい合図」に育てていく方法

 

 

「うちの子、褒めても覚えない…」

「褒めてるのに、嬉しそうじゃない…」

 

そんな風に感じたことはありませんか?

 

もしかしたらそれは、“褒めことば”が


まだ犬にとって、うれしいものになっていない
だけかもしれません。

 

この記事では、褒めの伝わり方を育てていくための5つのステップを、わかりやすく紹介します。

 

 

 

 

STEP1】まずは「褒めことばのあとに、うれしいことが起きる」をセットにする

 

「いい子だね!」という言葉、

最初のうちは、犬にとっては、ただの“音”です。

 

でも、その言葉のあとに毎回

おやつをあげる

一緒に遊ぶ

 

など、犬が喜ぶことが続いていれば、

犬は「この言葉が出ると、なんかいいことがあるぞ」と感じるようになります。

 

つまり、“褒めの言葉”をうれしい合図に育てていくことが、最初のステップです。

 

 

STEP2】褒めるタイミングは、できるだけすぐ!

 

犬にとって、「どの行動がほめられているのか」がはっきり伝わることがとても大事です。

 

理想は、行動の直後(1秒以内)に褒めること。遅くても2〜3秒以内には伝えたいところです。

 

というのも──

  • してほしい行動をした瞬間!に褒められる→その行動をおぼえやすい

  • 行動が終わって別の行動にうつってから褒められる → “その間にした動き”がいいことだと勘違いされてしまうこともある

 

たとえば、おしっこや「オスワリ」のように少し続く行動では、している最中に静かに褒め続けることも、とても効果的です。

 

「それそれ、今のが正解だよ!」というリアルタイムのフィードバックになるので、犬が行動と褒めをしっかり結びつけやすくなります。

 

褒めたい行動が見られたらすぐに褒める!──このタイミングを意識するだけで、褒めがグッと伝わりやすくなります。

 

 

STEP3】「犬がそのとき本当に嬉しいもの」を選ぶ

 

私たちが良いと思っているものが、

犬にとっては「そんなに嬉しくない」こともあります。

 

たとえば:

おやつ → 今はお腹いっぱいでいらない /  そんなに好きなおやつじゃない

• わしゃわしゃ 撫でる → 今は撫でられたくない

はじめから大声で声をかける → びっくりする / 怖いと感じる

 

その子にとって“今”うれしいごほうびを選ぶことが、

褒めを伝わりやすくするコツになります。

 

 

STEP4】ふだんの関係が、褒めの伝わり方に影響する

 

■ 褒めが“ごほうびになる”かどうかは、関係性しだい

 

ふだんのやりとりの中で、

犬が「この人と一緒にいると楽しい」「安心できる」と感じていれば、

その人の褒め言葉は、だんだんそれだけでうれしいものになっていきます。

 

逆に、褒めのあとにすぐ嫌なこと(抱っこ・リードをつける・トレーニング終了など)が続くと、

「褒め=イヤなことの前触れ」と感じてしまうこともあります。

 

褒めが「うれしいサイン」として伝わるためには、

“この人のそばにいると安心”という関係性の土台がとても大切です。

 

 

■ うちの子も「褒めの言葉」を少しずつ育ててきました

 

うちの犬も最初は、「いい子」「そうそう」といった、

ごほうびとセットで覚えてきた“知っている褒めことば”にしか反応しませんでした。

 

でも最近では──

「かっこいいねー!」「天才!」「よくできたね」など、

他の褒め言葉にも嬉しそうな顔を見せるようになってきました。

 

 

■ 一時期はシンプルな褒め方にしていた時期も

 

以前は、「短く“いい子”→すぐおやつ」の方が犬にわかりやすいと聞き、

できるだけ情報を少なく、シンプルに伝えるようにしていました。

 

 

■ レッスンで“盛大に褒める”スタイルに変えてみた

 

ところが、実技のレッスンでトレーナーさんから


「もっと盛大に、うれしそうに褒めてOK!そのほうが楽しさが伝わりますよ」と教わり、それまでの褒め方を見直してみることにしました。

 

以前のように「短く“いいこ”→すぐおやつ」よりも、
犬が明らかにうれしそうで、自信をもって行動しているように感じます。

 

 

そして「知っている褒めことば」と一緒に、「知らない褒めことば」も足して伝える。

そんなやり方を、この1年ほど続けています。

 

今では、褒め言葉そのものが、

うちの犬にとって“うれしい合図”として育ってきたなあと感じています。

 

 

 まとめ:褒めの力は、日常から少しずつ育てられる

 

褒めが効いていないように感じるときは、

「この子にとって、褒めがごほうびになっているか?」を見直してみると

ヒントが見えてくることがあります。

 

関係性・伝え方・日々の積み重ねで、

褒め言葉は、犬にとって“これで合ってる!”と感じられるサインに育っていくんだなと実感しています。

 

 

STEP5】褒めが伝わっているか、犬の反応をよく見てみる

 

褒めているつもりでも、

犬の表情が硬かったり、そのあと行動が続かない場合は、

褒めがまだ“うれしいもの”になっていない可能性があります。

 

そういうときは、

タイミングを早めてみる

声のトーンを変えてみる(穏やかに / もっと嬉しそうに)

ごほうびをもっと好きな食べ物に変えてみる

撫でる代わりに一緒に遊ぶ  など

 

いろんな方法を少しずつ試しながら調整していくのがおすすめです。

 

 

まとめ:「褒めてもうまく伝わらない」は、育てていくチャンス

 

「褒め=ごほうび」と思いがちですが、

実はその“褒め”がごほうびとして伝わるには、少しずつ育てていくプロセスが必要です。

 

どんな褒めが、どんなタイミングで、その子に伝わりやすいのか?

その子にとって嬉しいごほうびって、なんだろう?

 

そんなふうに観察しながら、

あなたと犬との“うれしい合図”を育ててみてください。

 

 

 

「褒めてるつもりなのに、なんか通じてない…?」
そんなモヤモヤの正体と、褒めの“伝わり方”の仕組みについては、こちらの記事に詳しく書いています。

 

endlesshappypaws.hateblo.jp

 

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「褒めてるのに通じてないかも…」|“伝わる褒め”の基本をやさしく解説

「犬は褒めて育てるといい」

──そんな言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。

 

でも実際にやってみると、

• 褒めても反応がない

• 褒めてるつもりなのに通じてない気がする

• どう褒めればいいのかよくわからない

 

そんなモヤモヤが出てくることも。

 

この記事では、「犬にとって褒めるとはどういうことか?」を、行動の仕組みに触れながらやさしく解説します。

 

 



 

1】犬は「言葉の意味」を理解していない

 

「いい子だね!」「すごいね!」

私たちには褒めことばとして自然でも、犬にとってはただの“音”。

 

犬は人間の言葉を意味で理解しているわけではありません。

でも、そのあとに嬉しいことが続くと、「この音=いいこと」と覚えていきます。

 

 

2】最初に伝わるのは「正解がわかった!」という感覚

 

犬が最初に感じているのは、「褒められた!」ではなく

「これをしたらいいことが起きた!」という“予測の成立”です。

 

この成功体験の積み重ねが、「この行動=よいことが起きる」と教えてくれます。

つまり、“正解がわかること”が第一歩なんです。

 

 

3】褒めが嬉しくなるのは、関係性が育ってから

 

褒めことばそのものがうれしくなるのは、人との関係性が積み上がってきたあと

 

飼い主が笑ってくれる、そばに来てくれる、撫でてくれる。

そういったやりとりが報酬となっていくうちに、褒められること自体がごほうびになるんです。

 

ちょっと寄り道:褒めの“すごい力”が科学的にもわかってきました

最近の研究では、「食べ物だけのごほうび」よりも、「褒められる+ごほうび」がセットになったときのほうが、犬はよりよく覚えていたという結果が出ています。

 

なぜかというと、「褒められる」という体験がうれしい感情をともなう記憶として残ることで、学習そのものが強化されていたのです。

 

さらに驚くのは、そのあとにとった睡眠が、このうれしい記憶をさらに定着させていたこと。
(人間でも、感情をともなう記憶ほど、寝ている間に深く残ると言われていますよね。)

 

このことからも、「褒めても意味ないのでは?」と思っていた飼い主さんにこそ、
“褒め”には力があることを、ぜひ知ってもらいたいのです。

 

※参考:Rooijakkers et al., 2024, Scientific Reports

 

 

4】「人が思うごほうび」ではなく「犬が嬉しいもの」を

 

ここで忘れてはいけないのが、「ごほうびは犬目線で」ということ。

• お肉?

• おもちゃ?

• ナデナデ?

• 飼い主さんの笑顔?

 

あなたの犬さんが「これ嬉しい!」と感じるものを知っておくことが、伝わる褒めの土台になります。

 

 

5】よくある褒め方と、ちょっとした注意点

 

● 褒めことばだけで終わる

 

→ ごほうびとセットにしよう。

 

● 行動が終わったあとに褒めてしまう

 

→ 最中か直後に。はじめは3秒以内!

 

● 撫で=うれしいと思い込んでる

 

→ 撫でが苦手な子も。犬の反応を見て選んで。

 

● 大声でテンション高く褒める

 

→ 怖がりさんにはやさしい声でOK。テンションは犬に合わせて。

 

f:id:aarotan:20250509195205p:image

 

 

6】どんな褒め方にも共通する大切なこと

 

すべての褒め方に共通して大切なのは、飼い主さんの“表情”です。

 

犬は人の顔の表情をとてもよく見ています。

言葉以上に、「笑っているかどうか」で空気を感じ取っています。

 

だから──

どんなときもスマイルで。

 

やさしい声、うれしいごほうび、そしてあなたの笑顔。

この3つがそろえば、あなたの「伝えたい」は、きっと犬に届きます。

 

 

【まとめ】

 

「褒める」とは、犬に「正解!」を伝える合図です。

 

はじめは、『行動→褒めことば→ごほうび』のつながりをつくり、「これをしたら良いことがあった!」という体験を重ねること。

 

そこに飼い主さんの思いや関係性が重なって、

やがて「褒められることそのものが嬉しい」に育っていきます。

 

まずは、あなたの犬さんの“うれしい”を探すことから、はじめてみてください

 

 

 

褒めが伝わる5つの実践ステップはこちら

 

endlesshappypaws.hateblo.jp

 

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犬の「老化だから仕方ない」を見直す。シニア期のQOLを上げる“思い込み”との付き合い方

 

年齢を重ねた愛犬に変化があらわれたとき──

「もう年だから」「できなくなってきたのは仕方ない」と、つい思ってしまうことはありませんか?

 

それは“老化”そのものではなく、暮らしの環境が今の体に合わなくなってきただけかもしれません。

 

ほんの小さな見直しで、また“できること”が増えるかもしれません。

そんな希望を持てる、あたたかな気づきのきっかけになれば嬉しいです。

 

 

 

犬との暮らしにある「こうあるべき」という思い込み、ありませんか?

 

私はあります。たくさん。

 

愛犬と過ごす中で、いつのまにか増えていたり、気づいて手放したりしてきました。

 

今回は、20歳のシニア犬と暮らす飼い主さんのエピソードを通して、

「犬の変化=老化」と決めつけるのではなく、

人の思い込みに気づき、環境を見直すことの大切さ、

そして「思い込みを手放す」ことについて書いてみます。

 

 

犬の小さな変化がもたらす大きな気づき

 

20歳のシニア犬と暮らす飼い主さんのお話。

 

そのシニアさんは、土や草の上を歩くのが大好き。

けれどある日、突然歩かなくなってしまったそうです。

 

「ついに歩けなくなったのかもしれない」と悲しくなったという飼い主さん。

 

でもその後、ふわふわに伸ばしていた被毛を短くカットし、自宅の庭ではリードを外してみたところ──なんとまた元気に歩き出したそうです。

 

その結果、よく眠れるようになり、食欲もアップ。

 

「動く」「眠る」「食べる」──

基本的な欲求が満たされることの大切さを、改めて感じたと話していました。

 

「老化だから仕方ない」と決めつけず、環境を見直す

外ではリードが当たり前

 

毛はずっと長めにふわふわだったからそのままに

 

抱っこして移動するのが楽だし安心

 

長く一緒にいるほど、こうした“当たり前”を疑いにくくなります。

 

でも、ほんの小さな「見直し」が犬のQOLを大きく変えることがあります。

 

歩かない=老化

だから抱っこでOK

 

という結論に結び付ける前に、「もしかして環境が負担になっていないか?」と視点を変えること。

 

身体が動かしづらい部分はないか

 

リードの重さや素材は負担でないか

 

苦手な音や場所はないか

 

そんな観察が、犬の「もう一度歩きたい」という気持ちを引き出してくれるのかもしれません。

 

さらに、そのシニア犬さんは、土や草の上を歩くのが大好きで、

真冬に雪が積もっている日でも、雪の下に草や土がありそうな場所を選んで歩きたがるのだそうです。

 

そんな“小さなこだわり”に気づいてあげることで、

「ここなら歩けるかもしれない」と環境を整えることができる。

その視点こそが、犬の意欲や行動を引き出すきっかけになるのだと、強く感じました。

 



 

私たち自身の体感にもヒントがある

その飼い主さんは、ご自身も年齢とともにアクセサリーが負担に感じるようになり、今では何も身につけないそうです。

 

「犬も同じかもしれませんね」と話されていたのが印象的でした。

 

私自身も、若い頃は大ぶりのピアスやネックレスを気にせず身につけていましたが、今は細いチェーンでさえ気になります。

その変化を犬に当てはめて考えたことがなかったので、ハッとさせられました。

 

 

「手放す」ことも選択肢に

犬の行動に困ったとき、私たちはつい「どう教えるか」「どうやって行動を変えるか」と考えます。

 

もちろん、それが必要な場面もあります。

でも、「加える」だけでなく「手放す」選択肢があることも忘れたくありません。

 

たとえば、インターホン吠え

インターホンが鳴ったときに吠える犬。

 

多くの場合、「吠えずにハウスに入る」などの代替行動を教えるトレーニングが必要と考えます。

でも、その前に一歩立ち止まって考えてみる。

 

吠えの頻度は?

 

吠えが続く時間は?

 

本当に困っている?

 

犬自身が大きくストレスを感じている?

 

たとえば、「インターホンは週1回」「吠えは数秒」「すぐに落ち着く」「悪化の兆候はない」──

そんな場合、あえて何も対処しないという「手放す」選択も、犬と飼い主の両方を楽にしてくれるかもしれません。

 

もちろん、吠えが犬にとって大きな負担になっている場合には、

専門家のサポートを受けながら無理なく対応していくのが安心です。

レーニングが好きな子であれば、楽しみのひとつとして取り入れてあげるのもいいですよね。

 

(ちなみに、行動の前に届く刺激のほうを調整することで、犬が吠えなくなるケースもあるようです。たとえば、インターホンの音量を下げたり、スピーカーにカバーをかけるだけで変化が見られることも。)

 

 

若いうちから「手放す」視点を持っておく

 

愛犬はまだ若い。

でもこの「手放す」という考え方は、きっとこれから先、もっと必要になると思います。

 

犬の行動に困ったとき、シニア期に変化が出てきたとき──

「加える」だけでなく「見直して手放す」という選択肢。

 

これは、愛犬と心地よく生きていくために、ずっと忘れずにいたい大切な視点です。

 

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犬が“じっと見てくる”理由って?まなざしの奥にある気持ちを知りたい【後編】

 

 

「犬がじっと見てくるのは、何を伝えようとしてるんだろう?」

後編では、そんな“まなざし”の意味を、行動や関係性の視点から考えていきます。

日々の中でできる観察のヒントや、見つめ合うときの向き合い方も紹介します。

 

 

【4】犬の行動から見る「見つめる理由」──学習と感情の視点から

 

私の愛犬は、よくまっすぐに私の目を見つめてきます。

それは、私が何かを言ったわけでもなく、おやつを手にしているわけでもなく、ただの“何気ない日常”の中で起こることです。

 

けれど、その“見つめる”という行動には、犬なりの「理由」や「背景」がちゃんとあるのかもしれない。

そう思い、行動学や学習の仕組みの視点から考えてみました。

 

まず、犬が私たちを見つめる行動には、大きく分けて2つの方向性があります。

 

 

 1. 犬はなぜ見つめてくる?──日々のやりとりが育てる行動

 

犬は、自分の行動のあとにうれしいことが起きたと感じると、

「あのときと同じことをすれば、またいいことがあるかも」と考えて、その行動をくり返すようになります。

 

たとえば──

 

・飼い主をじっと見つめていたら、褒められた

・見つめたあとに、おやつや散歩に連れて行ってもらえた

・目が合ったあと、撫でてもらえて心地よかった

 

そんな小さな積み重ねが、

「見つめるといいことが起きる=見つめるという行動がくり返される」

という学習につながっていきます。

 

とくに、人が犬の行動に対して繊細に反応する家庭環境では、犬の方も「相手の目を見ると、何か起きる」と学びやすくなります。

 

こうして、“飼い主を見て判断する”“じっと見て反応を待つ”という行動が身についていきます。

 

 

 2. 信頼が育む「見つめ合い」

もう一つの視点は、「信頼」と「つながり」に基づく見つめ合いです。

 

人間の赤ちゃんも、愛着対象である養育者を見つめます。

犬もまた、安心できる相手を見つめるような行動を見せることがあります。

 

ただし、犬がじっと見つめてくるとき、

それが信頼の表れである場合もあれば、警戒や観察の意味を持つこともあります。

 

そのため、相手との関係性や、犬の表情・しぐさとあわせて読み取ることが大切です。

 

私の愛犬も、何かを求めているというより、ただこちらの存在を確認するように見つめてくることがあります。それは「何かしてもらえるから見ている」というよりも、関係性が深まったことで自然と出てきた“まなざし”かもしれません。

 

 

3.見つめる理由は、状況と犬の個性で変わる

 

では、「見つめてくる=安心しているサイン」と決めつけていいかというと、

それもまた一面的すぎます。

 

なぜなら──

 

・不安でじっと固まっているときに見つめてくる子もいます

・ソファの下に入ったおもちゃを取れずに困って視線を送る子もいます

・相手の出方を探るように、じっと観察するために見ていることもあります

 

犬の視線からのサインを正しく読み取るためには、

その子の体の緊張や耳・尻尾の動き、置かれた状況などもあわせて観察することが大切です。

 

たとえば──

 

・見つめたあと、リラックスして体を寄せてくる → 安心感のあるまなざし

・見つめたあと、体をそらす・あくびをする → 少し緊張を感じていたかも

・見つめている間、耳が動かずピンと立っている/後ろに張りついている → 警戒や不安の可能性がある

 

“目”だけではなく、“目を使って何を伝えようとしているか”を見ること。

それが、犬とまなざしを交わすうえで大切な視点だと感じています。

 

 

4.私の愛犬の3つの「見つめ方」

実際に、私の犬の視線にも“バリエーション”があることに気づいてきました。

 

・とろんとした目で見てくる→ 安心・甘え・穏やかなつながり

・キラキラした目でじっと見る→ 期待や要求(おやつ・散歩・声かけなど)

・まばたき少なく固めの目で見てくる→ 緊張や戸惑いが混ざっているときもある

 

こうして振り返ってみると、同じ“見つめる”という行動でも、犬の感情や状況によって意味が全く異なるのだと実感します。

 

では、私たちはそんな犬の“まなざし”をどう受け止め、どう関わっていけばいいのでしょうか?

 

次は、「飼い主ができる3つの観察ポイント」として、視線をめぐるやりとりをもっと心地よいものにするヒントをお届けします。

 

 

【5】飼い主ができる3つの観察ポイント──まなざしの対話を育てるために

「見つめ合うって、実際どう判断すればいいの?」

「うちの子が“見つめてくる”とき、どう受け止めればいい?」

そんなふうに感じている方も、きっといらっしゃるのではないでしょうか。

 

愛犬との暮らしや学びのなかで見えてきたことから、

“犬のまなざし”との向き合い方について、少しでも参考になる部分があればうれしいです。

 

1.ポイントは、次の3つです。

 

① 「視線の長さとまばたき」に注目する

犬が見てくるとき、“どれくらいじっと見つめているか” “瞬きの頻度”は、意外と感情を映すヒントになります。

 

  • まばたきがあり、柔らかい視線 → リラックスしている可能性が高い
  • まばたきが少なく、目の動きが固まっている → 緊張・警戒・戸惑いのサインかも

 

また、長く見つめすぎたあとにあくびをしたり、顔を少しそらす行動が出た場合は、

「ちょっと視線の強さに疲れたかも」というメッセージかもしれません。

 

視線の強さだけでなく、前後の反応もあわせて見ることで、犬の気持ちがより見えてくるかもしれません。

 

 

② 「見つめ返すときの“まなざし”を柔らかくする」

 

飼い主側の視線もまた、犬にとっての“環境”のひとつです。

 

  • 眉間に力が入ったり
  • 無言でじっと見つめたり
  • 体を前に乗り出して見たり

 

そういった“緊張した見つめ返し”は、犬にとってプレッシャーになることがあります。

おすすめなのは、まばたきを意識的に入れること。

まばたきは犬同士でも“敵意がない”というサインとして使われます。

それに加えて、

 

  • ゆっくりほほえむ
  • まばたきを増やす/目を細める
  • 柔らかい声で名前を呼ぶ/ほめる

といった行動を組み合わせると、犬にとって安心できる“視線のやりとり”になります。

 

見つめること=ただの観察ではなく、言葉のいらないコミュニケーションとして意識するだけで、犬との関係も、より深まっていくように思います。

 

 

③ 「目が合った“その後”の反応を見る」

視線の意味は、そのあとの行動にこそ表れます

 

たとえば──

 

  • リラックスして近づいてくる → 安心感のあるまなざし
  • 背を向ける/場所を移動する → 視線のやりとりが負担に感じられたのかも
  • あくびをする → プレッシャーをやわらげようとしていたのかも

 

つまり、「目が合った」という瞬間だけではなく、その“前後の流れ”を含めて観察することが、犬の気持ちを読み取る大きなヒントになるのです。

 

 

2.大切なのは「正解を探す」ことではなく、「対話として見る」こと

 

まなざしのやりとりに、絶対的な正解はありません

「見つめるのがいい」「目をそらすのが優しい」と、白黒をつけなくてもいいのかなと感じています。

 

大切なのは、そのやりとりの中に“あなたと愛犬の関係性”が宿っているということ。

 

今のその目は、安心しているのか。困っているのか。期待しているのか。

そんなふうに、その子の気持ちを汲み取ろうとしてみること。

それが、犬との信頼を育てる一歩になるはずです。

 

 

【6】見つめ返すときに──「視線の意味」を決めるのは人と犬の関係性

 

犬の視線には、たくさんの情報が込められています。

ですが、その意味はつねに一定ではなく、犬と人との関係性やそのときの状況によって変わることもあるのです。

 

同じ行動でも──

  • ある犬にとっては「信頼のまなざし」でも、
  • 別の犬にとっては「戸惑いのサイン」かもしれない。

 

そして、同じ犬でも、昨日と今日で感じ方は変わるかもしれないのです。

 

だから私は、「見つめ合うこと」を一つの“行動”としてだけではなく、“関係性の鏡”のように捉えるようになりました。

 

犬たちは、まなざしを通してこう問いかけているのかもしれません。

 

「見てくれてる?」

「ちゃんと、ここにいる?」

「今、私のそばにいてくれる?」

 

そんなふうに、“いまここ”のつながりを、静かに確かめているように感じることがあります。

 

そして私たちも、ただ見返すのではなく、そっと気持ちで答えるように見つめ返す。

 

そこに生まれる静かな時間は、しつけでも、学習でもなく、「ただ一緒にいること」の心地よさで満たされているように感じます。

 

 

1.まなざしを、通じ合いの“道”に変えていく

視線は、コミュニケーションの入り口です。

 

でもそれ以上に、「心のありよう」を映すものでもあります。

 

  • 焦っているときは、目の使い方も強くなる
  • 不安や心配なときは、じっと見てしまって、犬が戸惑うこともある
  • 安心しているときは、自然と目がやさしくなる

 

だから私は、犬の目を見つめるときに、

いまの自分は、どんな気持ちで犬と向き合っているか?」を見つめ直すようになりました。

 

見つめ合うという行為は、犬のサインを受け取るだけでなく、

自分自身の気持ちや向き合い方にも目を向けさせてくれるものかもしれません。

見つめ合うたびに思うのは、このまなざしが、私と愛犬のあいだに少しずつできあがってきた、ひとつの関係のかたちなんだということです。

 

誰かに正解を教えてもらわなくても、見つめ合う時間のなかで少しずつ育っていく関係があればそれでいい。

今は、そんなふうに思っています。

 

このまなざしがくれた気づきをふりかえりながら、「行動を読む」から「心で受け止める」へと変わっていった視点の変化を整理していきます。

 

 

【7】正しさではなく、関係性を育てる目線へ

「犬とは目を合わせない方がいい」──

この言葉を初めて目にしたとき、私は少し戸惑いました。

それまで当たり前のようにしていた“見つめ合い”が、

犬にとってよくないことなのかもしれないと、不安になったからです。

 

でも、時間をかけて犬と暮らすなかで、

そして行動学や脳科学の視点に触れるなかで、私は少しずつ見方が変わっていきました。

 

犬と人が見つめ合うとき、そこにはホルモンの変化があり、

脳のリズムがそろうような反応まで起きている。

 

そして何より、そこには「その子だけのまなざし」があることに気づきました。

 

見つめてくる。

見つめ返す。

その何気ないやりとりのひとつひとつが、

私たちのあいだにある関係のかたちを少しずつ形づくっていたのだと思います。

 

行動の知識やしつけの理論は、「どう教えるか」「どう止めるか」を教えてくれます。

でも、それだけでは見えてこないものがあることも、暮らしの中で感じてきました。

 

「目を合わせるとプレッシャーになる」

「信頼のあらわれとして見つめてくる」

どちらも間違いではありません。

 

けれど本当に大切なのは、“その子との関係の中で、何が起きているのか”を見ようとする目線なのかもしれません。

 

この記事で書いてきたことは、「見つめていい・見ない方がいい」という正解を示すものではなく、

「いま、この視線はどういう意味だろう?」と立ち止まる視点を持つきっかけになればと思っています。

 

科学や学びは、たくさんのヒントをくれます。

でもそのヒントをどう受け取りどう活かしていくかは、犬との日々の中でしか育たないと感じています。

 

今日も、うちの子と目が合いました。

まんまるの目で、じっとこちらを見てきます。

私は、軽くまばたきを返しました。

 

関係って、こういうふうに少しずつ育っていくのかもしれないなと、見つめ合うたびに思います。

 

そんなふうに感じる瞬間が、これからの暮らしの中にも、ぽつぽつ増えていくといいなと思っています。

 

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犬と見つめ合うと、心と脳に何が起きている? ──“まなざし”から見えてくる、犬との関係の深まり方

                                 

 

※この記事は【前編】です。

後編では、“見つめる”という行動を手がかりに、犬との関係づくりについても考えていきます。

 

【1】見つめ合うことに戸惑った私へ──はじまりは素朴な違和感から

 

1.「犬と目を合わせない方がいい」と聞いていた

犬と見つめ合うことで、私たちのあいだには、科学的にも“つながり”が生まれることがわかってきました。

 

でもその一方で──

「犬とは目を合わせない方がいい」

そんな話を聞いたことがある人は、少なくないと思います。

 

少し前まではネットや本などの情報ではよく、

「犬の目をじっと見つめるのはプレッシャーになる」

「優位に立とうとするサインになる」

といった考え方が紹介されています。

それを見て、なんとなく「そうなのかな」と感じていた時期がありました。

 

“じっと見つめる”という行為は、犬にとって威圧的に映るかもしれない。

だから、こちらが目をそらしてあげることが、やさしさなのかもしれない。

──そう思い込んでいた私は、見つめられても「これでいいのかな」と迷いながら、目をそらしていました。

 

 

2.実際に暮らしてみて感じた、犬からの“まなざし”

でも、一緒に過ごす月日が長くなると、話は変わってきます。

私の愛犬は、よく私を見つめてきます。

まんまるで可愛い目をまっすぐに向けて、じーっと、何かを伝えようとするように。

そんなふうに見つめられると、つい私も、その目を見つめ返してしまいます。

 

でも、あの「目を合わせない方がいい」という話が、ふと頭をよぎることもあります。

「これって、本当に犬にとって居心地のいいやりとりなんだろうか?」

そう思うと、視線を返すときに少し迷いが生まれることがありました。

 

 

3.そもそも「見つめ合う」って、何を意味してるの?

「私たちの“見つめ合い”には、どんな意味があるんだろう?

そんな疑問から、

私はあらためて「犬と見つめ合うこと」について調べたり、考えたりするようになりました。

 

調べていくうちに、「見つめ合うこと」が想像以上に多くの変化を引き起こしていることがわかってきました。

それは、行動だけでなく、脳や感情のレベルにも及んでいたのです。

 

 

4.この記事で伝えたいこと

この記事では、そんな疑問をもとに、行動学・これまでの研究結果・そして実体験の3つの視点から、「見つめ合い」が持つ意味を少しずつ整理していきます。

 

 

【2】なぜ「犬と目を合わせない方がいい」と言われてきたのか?

 

1. 「目を合わせない方がいい」が広まった背景

「犬と目を合わせるのはよくない」という考え方は、ネットやしつけ関連の情報の中でよく見かけます。

 

特に、犬との関係づくりにまだ慣れていない段階では、「目を見すぎるとプレッシャーになる」といったアドバイスが印象に残りやすいかもしれません。

 

この背景には、動物行動学的な視点があります。

 

犬は視線や姿勢を使ってコミュニケーションをとる動物で、その視線は時に相手にストレスや不安を感じさせることもあります。

 

たとえば、犬同士が緊張した状態で向き合ったとき──

体を固め、目をそらさずにらみ合う姿勢になることがあります。

これは、ほんの少しのきっかけでケンカに発展してもおかしくない、ピリピリした空気を現わしており、

そのまま近づくと緊張が高まり、攻撃行動につながることもあります。

 

 2. 人にも共通する「視線」のプレッシャー

このような視線の使い方は、人間にも共通する部分があります。

たとえば、電車の中で知らない人にじっと見られたら、居心地が悪くなるように、

犬にとっても「じっと見られること」は、相手の意図がつかめず緊張や不安を感じる場面になります。

 

 

3. 犬が「視線」から受け取っていること

犬は、視線や姿勢などのボディランゲージを通して、「どう振る舞えばいいか」を判断しようとします。

判断する力は、日々の経験によって少しずつ育まれていきます。

 

 

4. すべての犬に当てはまるわけではない

こうした背景から、正面からじっと見つめるような視線が、

一部の犬にとっては、相手の意図をネガティブに受け取り、圧として感じてしまうこともあるのです。

これが、「目を合わせすぎない方がいいとされている」理由のひとつです。

 

もちろん、すべての犬が当てはまるわけではありませんが、

以下のような犬たちでは、視線に対して特に敏感になる傾向があります:

 

・過去に人との関係でトラウマがある犬

・警戒心が強く、刺激に敏感な気質の犬

・攻撃性を示した経験がある犬

・知らない人に対して緊張しやすい犬

 

このような傾向の犬たちには、正面からじっと目を合わせるのではなく、

「視線を逸らす」「体を少し横に向けて緊張を和らげる」などの配慮が大切になります。

 

ただし──

ここで重要なのは、“目をそらした方がいい”という考えが、

すべての犬・すべての関係性に当てはまるわけではないということです。

 

実際、私の愛犬のように、日常的にじっと見つめてくる犬もいます。

しかもそのときの表情は、リラックスしていたり、どこか嬉しそうだったりするのです。

それでも、私は「見つめ返すのはプレッシャーになるんだろうか?」と

どこかでブレーキをかけてしまっていました。

 

このような関わりを重ねるうちに、こんな疑問が浮かびました。

「“目を合わせるとよくない”って、本当はもっと文脈に左右される繊細なことなんじゃないだろうか?」

 

5.「見つめると吠える」「見つめるとうなる」犬たちの声から見えてくるもの

「見つめると吠える」「見つめるとうなる」といった声を見かけることがあります。

こうした反応は、“視線そのもの”が刺激になるというよりも、視線に込められた意図や場面の文脈によって引き出されている可能性があります。

たとえば、

「何かを期待していた」

「不安や緊張が高まっていた」

「じっと見られることで困惑した」

 

その犬なりの経験や気質、そしてその瞬間の環境が影響しています。

「見つめる=プレッシャー」ではなく、

「どういう文脈に、どういう関係性で、どんな気持ちで、どんなふうに見つめ合ったか」が鍵になるのだと思います。

 

 

ここからは、「犬と人が見つめ合うことで何が起きているのか」を、脳やホルモンの働きに注目しながら見ていきます。

 

 

【3】見つめ合うと何が起こる?──脳とホルモンの変化をひもとく

 

「犬と目を合わせない方がいい」という考えに、少し立ち止まってみたとき──

私はこんな疑問が湧いてきました。

 

「じゃあ、“目を合わせることで気持ちが通じ合っている”ように感じるあの瞬間は、ただの思い込みなんだろうか?」

この問いに対して、科学はとても興味深いヒントを示しています。

実際、犬と人が見つめ合うときには、ホルモンや脳の働きに変化が起きることが、研究で確認されています。

 

1.見つめ合うだけで「絆ホルモン」が増える:名古屋大学の研究(Nagasawa et al., 2015)

犬と人の「見つめ合い」が注目されるきっかけとなった研究があります(研究はこちら)。

2015年、名古屋大学の永澤美保さんらのチームが発表したもので、犬と飼い主が一定時間見つめ合ったあと、双方の尿中オキシトシン量が増加していたことが確認されました。

さらに、見つめ合う時間が長かったペアほど、オキシトシンの分泌量も多かったのです。

 

オキシトシンは、いわゆる“絆ホルモン”“愛情ホルモン”とも呼ばれ、信頼や愛着、安心感といった感情と深く関わる神経伝達物質です。

母子のスキンシップや授乳の場面でも分泌されることが知られており、人間関係の形成や安定に関与しているとされています。

 

この研究結果は、見つめ合うという行為そのものが、犬と人の信頼関係を深める“生理的なしくみ”を持っている可能性を示しています。

 

また興味深いのは、この現象が犬同士や人とオオカミの間では見られなかったという点です。

まりこれは、人間と犬の間の進化の過程で築かれてきた可能性のある、特別な絆のしくみなのかもしれません。

 

 

2.“見つめ合い”は脳もつなげる?:脳波シンクロの研究(Shih et al., 2024)

オキシトシンだけではありません。

見つめ合うことで、犬と人の“脳のリズム”までシンクロするという研究も登場しています(研究はこちら)。

台湾の成功大学(NCKU)による2024年の研究では、犬と飼い主が見つめ合ったり、身体に触れ合ったりする間、両者の脳波(EEG)を同時に測定しました。

その結果──

 

前頭葉(共感や感情処理)や

頭頂葉(感覚や空間認知)といった領域において、

 

見つめ合っているとき、犬と人の脳波が同じリズムで動くようにそろう傾向があることがわかっています。

脳のリズムがそろう──

そんな心のつながりのような状態が、脳波としても現れていたのです。

 

つまり──

犬と人が見つめ合う時、ホルモンや脳の働きにも変化が起きることがわかってきました。それは、「アイコンタクト=支配」といった単純な枠では語れない、いくつもの意味がある、穏やかな関係性が見えてくるように感じます。

 

次は、行動学・学習の仕組みの視点から、

「犬が“見つめる”という行動をとるのはなぜか?」を掘り下げていきます。

 

行動の背景には、意外と知られていない「ふだんの関わりの中で、その行動が繰り返されやすくなる理由」が隠れていることがあります。

 

※この記事は【前編】です。

後編では、犬が見つめてくるときの行動の意味や、視線を通じた関係づくりについて触れていきます。

 

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