「褒めてるのに通じてないかも…」|“伝わる褒め”の基本をやさしく解説
「犬は褒めて育てるといい」
──そんな言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。
でも実際にやってみると、
• 褒めても反応がない
• 褒めてるつもりなのに通じてない気がする
• どう褒めればいいのかよくわからない
そんなモヤモヤが出てくることも。
この記事では、「犬にとって褒めるとはどういうことか?」を、行動の仕組みに触れながらやさしく解説します。
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- 【1】犬は「言葉の意味」を理解していない
- 【2】最初に伝わるのは「正解がわかった!」という感覚
- 【3】褒めが嬉しくなるのは、関係性が育ってから
- 【4】「人が思うごほうび」ではなく「犬が嬉しいもの」を
- 【5】よくある褒め方と、ちょっとした注意点
- 【6】どんな褒め方にも共通する大切なこと
- 【まとめ】

【1】犬は「言葉の意味」を理解していない
「いい子だね!」「すごいね!」
私たちには褒めことばとして自然でも、犬にとってはただの“音”。
犬は人間の言葉を意味で理解しているわけではありません。
でも、そのあとに嬉しいことが続くと、「この音=いいこと」と覚えていきます。
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【2】最初に伝わるのは「正解がわかった!」という感覚
犬が最初に感じているのは、「褒められた!」ではなく
「これをしたらいいことが起きた!」という“予測の成立”です。
この成功体験の積み重ねが、「この行動=よいことが起きる」と教えてくれます。
つまり、“正解がわかること”が第一歩なんです。
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【3】褒めが嬉しくなるのは、関係性が育ってから
褒めことばそのものがうれしくなるのは、人との関係性が積み上がってきたあと。
飼い主が笑ってくれる、そばに来てくれる、撫でてくれる。
そういったやりとりが報酬となっていくうちに、褒められること自体がごほうびになるんです。
ちょっと寄り道:褒めの“すごい力”が科学的にもわかってきました
最近の研究では、「食べ物だけのごほうび」よりも、「褒められる+ごほうび」がセットになったときのほうが、犬はよりよく覚えていたという結果が出ています。
なぜかというと、「褒められる」という体験がうれしい感情をともなう記憶として残ることで、学習そのものが強化されていたのです。
さらに驚くのは、そのあとにとった睡眠が、このうれしい記憶をさらに定着させていたこと。
(人間でも、感情をともなう記憶ほど、寝ている間に深く残ると言われていますよね。)
このことからも、「褒めても意味ないのでは?」と思っていた飼い主さんにこそ、
“褒め”には力があることを、ぜひ知ってもらいたいのです。
※参考:Rooijakkers et al., 2024, Scientific Reports
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【4】「人が思うごほうび」ではなく「犬が嬉しいもの」を
ここで忘れてはいけないのが、「ごほうびは犬目線で」ということ。
• お肉?
• おもちゃ?
• ナデナデ?
• 飼い主さんの笑顔?
あなたの犬さんが「これ嬉しい!」と感じるものを知っておくことが、伝わる褒めの土台になります。
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【5】よくある褒め方と、ちょっとした注意点
● 褒めことばだけで終わる
→ ごほうびとセットにしよう。
● 行動が終わったあとに褒めてしまう
→ 最中か直後に。はじめは3秒以内!
● 撫で=うれしいと思い込んでる
→ 撫でが苦手な子も。犬の反応を見て選んで。
● 大声でテンション高く褒める
→ 怖がりさんにはやさしい声でOK。テンションは犬に合わせて。

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【6】どんな褒め方にも共通する大切なこと
すべての褒め方に共通して大切なのは、飼い主さんの“表情”です。
犬は人の顔の表情をとてもよく見ています。
言葉以上に、「笑っているかどうか」で空気を感じ取っています。
だから──
どんなときもスマイルで。
やさしい声、うれしいごほうび、そしてあなたの笑顔。
この3つがそろえば、あなたの「伝えたい」は、きっと犬に届きます。
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【まとめ】
「褒める」とは、犬に「正解!」を伝える合図です。
はじめは、『行動→褒めことば→ごほうび』のつながりをつくり、「これをしたら良いことがあった!」という体験を重ねること。
そこに飼い主さんの思いや関係性が重なって、
やがて「褒められることそのものが嬉しい」に育っていきます。
まずは、あなたの犬さんの“うれしい”を探すことから、はじめてみてください
褒めが伝わる5つの実践ステップはこちら
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